思わず目を覆い、耳を塞ぎたくなるような、
凶悪かつ残虐な犯罪のニュースを目にして、

は?
こんな酷いことしたのに、たったの懲役○年?
と思ってしまったこと、ありませんか?
僕は、そういうニュースを見聞きするたびに、
激しい憤りを感じるとともに、
刑罰の本質や、そのあるべき姿について、
自分の考えを、まとめたくなるのです。
刑罰の4つの機能
学術的には、刑罰には4つの機能があります。
- 応報 ― 罪に相応しい罰を与える
- 抑止 ― 犯罪を未然に防ぐ
- 隔離 ― 社会から引き離す
- 更生 ― 立ち直りを促す
応報 ― 罪に相応しい罰を与える



悪いことをした人には、罰を受けてほしい!
こういう処罰感情は、
誰もが持つ自然な感情だと思います。
また、被害者が抱くであろう、



私に酷いことをしたあの人には、同じ苦しみを味わってもらいたい!
という報復感情も、誰もが共感できるはず。
しかし、
個々人が、私刑・復讐をするようになれば、
社会は、無秩序になってしまいます。
そのため、
処罰・報復の権利は、社会正義の名の下に、
国家が独占することになっているのです。
このように、
刑罰は、処罰や報復の権利を個人から取り上げ、
国家がそれを代行するという側面があるのです。
抑止 ― 犯罪を未然に防ぐ



あいつ腹立つ!
殴ってやりたい!



刑法208条【暴行罪】
・2年以下の拘禁刑
・30万円以下の罰金



ぐぬぬ…
我慢するか…
罪に対する罰を、あらかじめ明確にしておくことで、
犯罪を企図した者を威嚇し、犯罪を未然に防ぐ。
刑罰には、このような側面もあります。
隔離 ― 社会から引き離す
例えばの話、
こんなニュースが報道されたとしたら、



早く捕まってほしい…
と思う人は多いと思います。
しかし、ここで抱く感情は、



犯人には早く捕まって、罪を償ってほしい…
ではなく、



犯人が早く捕まって、安心して外を歩けるようになりたい…
というものではないでしょうか?
このように、
犯罪者を刑務所等に収容して社会から隔離し、
その間、その犯罪者が再犯するのを防ぐ。
これが、刑罰の3つ目の機能です。
更生 ― 立ち直りを促す
犯罪者に対し、刑務所において、
矯正教育(教育・訓練・心理的支援)を行い、
彼らが社会復帰後に再犯するのを防ぐ。
これが、刑罰の4つ目の機能です。
応報、抑止、隔離、更生。
このうち、刑罰の本質はどれなのでしょうか?
続きます。